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2005年2月

2005年2月27日 (日)

なぜ使えない(6)


前々回、前回と相対評価であれば、導入時から使用できることを書いた。

特に初めて導入される方は、海のものとも山のものともわからないソフトをどうすればよいか、と思われる方も多いと思う。

そのような場合は、まずは相対評価ができることを目標にやられると良い。

さて、相対評価するにしても、何で評価するか、ということがわかっていなければならない。
今回は評価方法について述べたいと思う。

CAEソフトはいろいろな結果を表示してくれる。

構造解析であれば、変位、応力、ひずみ、流体ソフトであれば温度や流速などである。

その中でも、構造解析の評価方法はさまざまあり、実は難しい。

結論から言うと、評価したい現象についてよく理解すれば、評価方法は見えてくるはずである。

応力は各成分、主応力、相当応力など数種類あり、どれを使うか難しい。

たとえば破壊を評価する場合、どのような機構で破壊したかを分析する必要である。
もし、新規開発品で破壊した現物がない場合は、過去の類似した製品の例を調べる必要がある。

特に、どの方向に力が加わって破壊したか(破壊モード)がわかれば、その方向に相当する応力を調べればよい。

しかし、よく考えてみると、このような分析は通常CAEは関係なく通常の不具合の解析として行なわれているものである。

つまり、CAEが破壊などの不具合の解析を行うのではなく、不具合の解析をCAEが手伝う、と考えた方が良い。

もし、不具合の解析技術が不十分であれば、そちらの方を優先させるべきである。
それがある程度見えてこないと、CAEは非常に使いにくい。

逆に原因が絞られるほど、モデル化や結果の評価方法がはっきりして、CAEは力を発揮するのである。

2005年2月13日 (日)

なぜ使えない(5)


前回、CAEの絶対的な精度を上げるのはそれなりの努力を要することを書いた。
しかし、安くはない買い物であり、現在むやみにスピードが叫ばれている時代、上からのプレッシャーも厳しいので、すぐ結果を出さなければならない。
ここでいう結果とは、シミュレーションの結果ではなく、ものづくりに使えたかどうかという意味である。

だが、今まで述べてきたとおり、絶対値の予測や壊れる壊れないの判断をCAEですることは難しい。

そこで、応力などの分布図を出して一番壊れやすいのはここで、応力は何MPaです、というようなプレゼンをよく見かける。
しかし、CAE導入直後などで実験との相関関係を確認せずにこのようなことをするのは、非常に危険である。
なぜなら、

1.これだけでは設計者が真にほしい情報になっていない。
設計者は改善、改良するアイデアがほしいのであって、どこが何MPaということではない。
もっとも、優秀な設計者はこれだけの情報から自分でアイデアを考えてしまうが、それではCAEの担当者はオペレータになってしまう。

2.試験や実験と相関の取れていない絶対値を出すのは危険である。
極端に言うと、その応力は実際の応力と異なっている可能性が高い、というよりほとんどの場合異なっている。
また、まったく解析で最大応力とならなかったところから壊れるかもしれない。
これは、「なぜ使えない(3)」でも書いたが、現象の完全なモデル化をしていない、メッシュ密度の依存性の問題や材料強度(破壊の原因が何かで強度評価法が変わってくる)の問題などさまざまな要因がある。
私の経験上、初めて解析対象物をシミュレーションする場合、よほど単純なもの(梁理論でも十分評価できるような構造物)を除けば、まず応力は一致しない。

そこで、以前にも書いたが、あらかじめ改善案をいくつか考えておいて、それをCAEを使って比較評価するのがよいということになる。

こうすれば、AとBどちらが良いかというのを設計者に提案できるし、応力の絶対値も出さなくて済む。

しかし、相対的に比較ができる精度が保障されるのか、ということが疑問点になる。

もちろん100%大丈夫とはいえないし、対象としている課題に大きく依存するのだが、私は特別な物理現象を扱わない限りは、相対評価はある程度保証できる結果を得られると考えている。
「ある程度」とは、設計開発の検討のひとつとしてやってみる価値は十分あるくらい、と考えていただけると良い。

しかし、相対評価を行う場合でも、正しいプロセスを踏んでよい計算しなければ、当然精度が悪くなる。
どうすればよい計算ができるか、ということを考えてみる。

たいていのCAEソフトは以下のような手順をとると思う。

1.解析する対象の形状を作る(CADデータを読み込んだり、CAEソフトで作成)

2.要素分割を行う(メッシュを切る)-一部の解析の種類によってはない場合もあるが、90%の解析シミュレーションでは行っていると思う

3.材料物性値を割り当てる

4.境界条件(拘束条件、荷重条件)を入力する

5.計算をする

6.結果を見る

以上のプロセスで精度が悪くなる原因を考えてみる。

1.形状作成も、形状はきめてシミュレーションを行うので、変えようがない。
ただし、CADデータは部品ごとに作成されている場合が多いので、組み合わせ(アセンブル)する場合は、それぞれの関係に注意して形状作成する必要がある。
また、モデルの外の構造物との関係は、あとで境界条件を考えるときに必要なので注意する(固定されている、接触している、干渉がある、力が加えられるなど)

2.は実は計算結果に大きく影響するのだが、ここではソフトの自動分割を信じて、それに任せることにする。
実際、自動分割のパラメータを変えなければ、同じ密度でメッシュを作成してくれるはずなので、結果のメッシュ密度分割の影響は大きくないはずである。
ただし、形状が急激に変化するところや結果の差が大きくない場合は注意が必要である。

3.は、データブックから材料の値を持ってきてデータを入力する。
差は出ないように見えるのだが、物性データの信頼できる範囲には注意する必要がある。
具体的には大きいひずみになったときや高温になったとき、そのデータが使えるかということである。
物性値については他にも注意すべき細かい点があるのだが、それはまた別の機会に述べることにする。

4.は拘束されているところや力の量や方向が明白であれば良いのだが、そうでないことが多い。
たとえば応力解析の場合、実際のものは接触や干渉が起きる場合が多いのだが、それをまともにモデルに入れるのは非常に難しい。
また、かかっている力の大きさが不明の場合も多い。
これらをどう処理するかという話は別の機会にするが、解析者の技量が問われるところでもある。

5.はソフトにはいろいろ設定があるが、とりあえずデフォルトのものを使えば、あまりおかしい答えは出てこない、ということを信じてみる。

6.が以外に厄介な問題を含んでいる。
たとえば応力を出力しよう、とみてみると応力の種類が20種類程度あったりする。
とりあえずMises相当応力を見てる方が多いと思うが、それでよいか、これについても詳しくは後で述べてみたい。

こうしてみると、細かい点を除いて考えてみると4、6以外はなんとか機械的に処理できそうである。

よって、境界条件をうまく入れて、評価方法をうまく見つければ、何とか相対的評価はできるのではないか、と、かなり乱暴ではあるが考えることができる。

実際、応力解析で、特に単一材料で大きな変形を伴わないの解析であれば、境界条件さえあっていれば、そこそこの相対評価ができることは多い。

もちろん、精度的に良くするためには今まで書いたことのほかにも山ほど気をつけなければならない点はある。

あとは、複数の設計案についてシミュレーションを行い、得られた結果をグラフにしてどちらが良い、と示してあげればよい。

Mail:tsunodako@mail.goo.ne.jp

2005年2月 6日 (日)

なぜ使えない?(4)


ソフトベンダーや解析技術者にCAEを良く知らない設計者などが、
「CAEの精度するには何が必要か」
と質問したとき、
「実験(試験)結果のデータが必要です」
という答える場面を何回か見たことがあるし、私もそう答えたことがある。

そうするとその質問した人は、怪訝そうな顔をする。

この気持ちはわからなくもない。
実験や試験をなくすためにCAEをしているはずなのに、正しい結果を得るためには実験試験が必要だという話は矛盾している。

前にも書いたとおり、シミュレーションでは現実に起きている物理現象をすべて再現するのは不可能である。
よって、支配的と思われる現象のみを考慮する、つまりモデル化するのであるが、そのモデル化した現象が支配的であったかどうかを確認するのは実験や試験しかないのである。

シミュレーションと実験結果が一致しなければモデル化の見直しを行い、ある程度一致した場合でも、さらに精度を上げるためにモデル化の見直しを行う、こうして解析精度を上げていくしかないのである。

もちろん、理論解がある場合、たとえば材料力学の教科書に出ている初等はり理論でモデル化できる場合は、理論解との比較も必要である。

構造解析で具体的に言うと、弾性解析で一致しなければ、塑性を考慮した解析にする、慣性力を考慮した解析(動解析)にしてみる、温度が室温でない場合は材料物性値に温度依存性を考慮してみる、等々である。
このあたりの具体的な話は、後で機会を作って書きたいと思う。

とにかく精度を上げるためには以上のような地道な作業が必要(結局気合がいる)なのである。

自動車メーカーなどはCAEで実験の回数を減らすことに成功しているが、その裏には何十年ものこのような地道な作業があったと推測される。

もう一点、シミュレーションの結果と実験結果を比較する際の注意について書きたい。

それは測定がきちんと行われているかどうか、ということである。

たとえばひずみゲージによるひずみの測定や加速度センサーによる加速度の測定など、センサーのつけ方ひとつによって結構結果が変わる。
極端な話、セッティングした作業者によって結果がかわってくる場合もある。

また測定する装置の測定原理にも注意が必要である。

たとえばダイアルゲージで変位を測定する場合は、ダイヤルゲージが測定物に与える力が無視できない場合もある。(もっとも無視できない場合は使ってはいけないのだが...)

これらは測定誤差と呼ばれるものであるが、これらの他にも測定物の製造時のばらつきなどさまざまな誤差要因があるので、複数回の実験の結果をばらつきを考慮して検討する必要がある。

試験回数一回(n=1)の試験結果とCAEの結果を比較して精度を議論していることも良く見受けられるが、なるべく避けたいことである。
もっとも、難しい試験や試作回数が限られている場合は複数回実験することは難しいことであるが。

ここでいいたいのは、決して実験屋さんにケチをつけようというわけではなく、シミュレーションを行う際、よく実験条件を確認する必要がある、もっと言えばできれば実験を見学するなり参加するなりした方が良いということである。

最初の話に戻ってみると、精度を上げるには実験が必要で、さらにバラツキを考慮するために、複数回の実験必要だ、こういうことでは使えない、といわれそうだが、ここはCAE導入の目的に立ち返ってもらいたい。

つまり目的は設計開発の効率化であり、シミュレーションの精度をあげることではないのである。

あまり精度が悪いのは問題だが、ある程度の精度、最悪傾向さえあってくれれば、十分CAEは価値があると私は思っている。

また長くなってしまったので、そういう話はまた次回。

ご意見はtsunodako@mail.goo.ne.jpまで。



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